冠婚葬祭という特別な場面でどのようなスーツを着用すればよいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
冠婚葬祭ではTPOに合わせたスーツ選びが必要ですが、ブラックスーツ(礼服)であれば多くの冠婚葬祭の場面で着用できます。
この記事では、冠婚葬祭におすすめのスーツとマナーに沿った選び方、コーデ例などを詳しく解説します。

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1. 冠婚葬祭にはブラックスーツ(礼服)を選ぼう
男性は冠婚葬祭の各シーンで、「ブラックスーツ(礼服)」と呼ばれる黒いスーツを着用するのが一般的です。
具体的には結婚式や葬儀、法事法要、子どもの入学・卒業式などで着用できます。
冠婚葬祭でブラックスーツ(礼服)を着用する理由としては、以下の内容が挙げられます。
- 相手への敬意を表すため
- 日常とは異なる特別な時間を過ごすため
普段のビジネススーツとは別に、冠婚葬祭用を準備するのがおすすめです。
冠婚葬祭のなかでも結婚式であれば、ネイビーやグレーなどのダークカラースーツを着用できる場合があります。
ただし、葬儀にはブラックスーツを着用するのがマナーです。
ブラックスーツならネクタイを変えることで、結婚式・葬儀どちらにも対応できます。
そのため、初めて冠婚葬祭用にスーツを購入する場合は、汎用性の高いブラックスーツを選ぶのがおすすめです。

冠婚葬祭のスーツについて、よく耳にするキーワードをまとめてみました!
冠婚葬祭で着用するスーツの総称
・礼服
・フォーマルスーツ(ウエア)
・セレモニースーツ
葬儀に着用する礼服
・喪服
・ブラックフォーマル
さまざまな呼び方をしますが、どれも同じ意味で使われています。
1-1. ビジネススーツとの違い
ブラックスーツ(礼服)とビジネススーツの以下の点に違いがあります。
- 着用シーン
- 色
- 素材
- 光沢感
- デザイン
- シルエット
ブラックスーツ(礼服)は主に冠婚葬祭の各シーンで着用する一方、ビジネススーツは普段の仕事・職場で着用します。
ビジネススーツよりブラックスーツ(礼服)のほうが、同じブラックでも色が濃く深いのが特徴です。
冠婚葬祭という特別な場面で着用されるブラックスーツ(礼服)には、ウールといった上質な素材が使用されていることが多く、一般的に光沢感は控えめです。
反対に普段使いされるビジネススーツには、ストレッチ性や通気性などの機能面に優れた素材を使用していることが多く、光沢感のあるものが多いという違いがあります。
また、多くのビジネススーツには襟にステッチが入っていたり、動きやすさを考慮してベント(ジャケット裾にある切れ込み)が入っています。
一方のブラックスーツ(礼服)には、ステッチもベントも入っていないデザインが基本です。
ビジネススーツは細身やジャストサイズのシルエットが選ばれる一方、ブラックスーツ(礼服)はゆとりを持ったシルエットが選ばれやすい傾向にあります。
1-2. ダークスーツとの違い
ブラックスーツ(礼服)とダークスーツの大きな違いは、色の濃さと着用シーンです。

ブラックスーツ(礼服)は、フォーマル度の高い漆黒のスーツを指し、冠婚葬祭で着用します。
一方のダークスーツは、ダークグレーやダークネイビーなどのダークカラーのスーツ全般を指し、ビジネスシーンで着用されるのが一般的です。
ただし、友人や同僚の結婚式、子どもの入学・卒業式など、慶事の場であればダークスーツを着用できる場合もあります。
結婚式でダークスーツを着用する場合は、会場の雰囲気やドレスコードを事前に確認しましょう。
結婚式で着用するスーツの選び方やコーデ例については、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひご覧ください。
1-3. 喪服との違い
ブラックスーツ(礼服)と喪服では、着用シーンに違いがあります。
ブラックスーツ(礼服)は冠婚葬祭のさまざまな場面で着用できますが、喪服は主に葬儀(弔事)でのみ着用されます。
どちらも漆黒のスーツであることから「ブラックスーツ(礼服)=喪服」と認識されることがありますが、あくまでも喪服は礼服の一種です。
ブラックスーツ(礼服)は、葬儀における準喪服もしくは略喪服として着用できます。
2. 使い分け必須!礼服の種類3つ

種類 | 着用シーン | 立場 | 名称例 |
---|---|---|---|
正礼装 | 結婚式 | ・新郎新婦の親 ・主賓 |
・モーニング(モーニングコート) ・タキシード |
葬儀 | ・喪主 | ||
格式高い式典 | ・主催者 ・主賓 |
||
準礼装 | 結婚式 | ・新郎新婦の親族 ・主賓 |
・ブラックスーツ ・ディレクターズスーツ |
葬儀 | ・参列者 | ||
各種式典 | ・主催者 ・主賓 |
||
略礼装 | カジュアルな結婚式・披露宴の2次会 | ・新郎新婦の友人や同僚 | ダークスーツ |
通夜・法事 | ・一般弔問客 | ||
カジュアルなパーティー | ・一般参加者 |
なかでも正礼装は「式典に出席する総理大臣」や「オーケストラの指揮者」が着用しているイメージです。
限られた特別な機会に用いられる服装のため、目にする機会も着用する機会も少ないでしょう。
このように、礼服には種類があり、着用シーンや立場によって使い分けることが大切です。
これから冠婚葬祭用のスーツを準備する場合は、汎用性が高く万能なブラックスーツがおすすめです。
3.【基本マナー編】ブラックスーツの選び方
ここでは、基本マナーを押さえたブラックスーツの選び方を解説します。
3-1. 黒が濃いものを選ぶ

ブラックスーツは黒が濃いものを選ぶようにしましょう。
漆黒と呼ばれる濃い黒色であることがブラックスーツの基本です。色が濃ければ濃いほどフォーマル度も高くなります。
ビジネス向けのグレーがかった薄い黒だと、ブラックスーツとしては違和感が出てしまう可能性があります。
色の濃さはひと目でわからない場合もあるため、色味に迷ったら専門店のスタッフに尋ねてみてください。
3-2. 光沢が控えめな無地のものを選ぶ

ブラックスーツは無地のものを選びましょう。
また、慶事の場では光沢のある生地でも着用できますが、慎み深さを表したい弔事の場では光沢が控えめなマットな生地が適切です。
そのため、冠婚葬祭のさまざまな場面で使用する予定の方は、光沢が控えめかつ無地のものを選ぶとよいでしょう。
3-3. パンツの裾はシングル仕上げにする

ラックスーツのパンツの裾は、シングル仕上げを選ぶと安心です。モーニングカットによる裾上げも折り返しがなくフォーマルな裾上げ方法にあたるため、基本マナーとしては問題ありません。
しかし、モーニングカットは一般的に正礼装であるモーニングに合わせた裾上げ方法です。
そのため、ブラックスーツを購入する場合は、場面を選ばないシングル仕上げにしておくことをおすすめします。
なお、裾の折り返しがあるダブル仕上げはカジュアルな印象が強くなってしまいます。そのため、冠婚葬祭といった特別な場面には向きません。

基本マナーをクリアしたブラックスーツであれば、冠婚葬祭の各シーンで恥をかくことはありません。
本格的なブラックスーツをお探しの方は、ベントなし・ステッチなしといった細かなデザインにまで注目してみましょう。
4.【応用編】ブラックスーツを長期間かっこよく着こなすコツ
特別な日に着用するブラックスーツは、この先5年10年と長く付きあっていくものです。
ここでは、応用編としてブラックスーツを長期間かっこよく着こなすための選び方やコツを4つ紹介します。
4-1. スタンダードなシルエットを選ぶ

ブラックスーツを長期間着用するには、ややゆとりのあるスタンダードなシルエットがおすすめです。
ややゆとりを持たせたものを選んでおくことで、多少の体型変化があっても、シルエットを崩すことなくカッコよく着こなせます。
なお、トレンドのシルエットは魅力的ですが、時間の経過とともに古びた印象を与えたり買いなおす必要が出てきたりする可能性があります。
そのため、ブラックスーツは長期にわたって着用することを考慮し、流行に左右されないスタンダードなシルエットを選びましょう。
4-2. 通年用のものを選ぶ

冠婚葬祭でブラックスーツを着用する機会は、1年を通していつ訪れるかわかりません。そのため、どの時期であっても着用できるよう通年用のものを選びましょう。
具体的には、生地が透けない程度のほどよい厚みのあるものがおすすめです。
裏地は全面の「総裏」もしくは半分の「背抜き」を選んでおくと、どの時期であっても季節感を損なわず、快適に着用できます。
もこもこした起毛生地や透けるような薄手生地は快適に着用できる時期が限定されるため、着用機会の少ないブラックスーツを選ぶ際は避けることをおすすめします。
4-3. ウエストアジャスター付きのパンツを選ぶ

多少の体型変化があっても対応できるウエストアジャスター付きのパンツを選びましょう。
体型の変化に合わせて自分で簡単にサイズ調整できるため、長期にわたってカッコよく着こなせます。
ブラックスーツは着用機会が少なく、長期間着用することが前提となります。
そのため、将来的に買いなおす必要がないよう、購入時点でジャストサイズのものは避けましょう。
4-4. TPOに合わせて印象を調整できる小物を選ぶ
ブラックスーツは合わせる小物によって印象を変えられます。そのため、冠婚葬祭の各シーンに適した小物を選びましょう。
例えば、結婚式では明るい色のネクタイやポケットチーフ、葬儀では光沢のない黒色のネクタイを合わせるなどの例が挙げられます。
同じブラックスーツであっても小物選びによってマナー違反になる可能性もあるため、スーツに合わせる小物がTPOに適しているかに注意することが大切です。

体型変化や生地の劣化などを考慮し、5~10年で買い替えることを前提としておきましょう。
そのため、初めてのブラックスーツに高額商品はおすすめできません。
相場は3~5万円程度、高くても10万円以下を目安に選びましょう。
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5. 冠婚葬祭で着用するブラックスーツのコーデ例3選
冠婚葬祭で着用するブラックスーツのコーデ例を3つ紹介します。

トレンドに左右されないシルエットのブラックスーツに、さりげないチェック柄のネクタイを合わせたコーディネートです。
ポケットチーフを添えることで慶事向けの華やかな印象を与えられます。

ブラックスーツに柄もののネクタイとポケットチーフ、さらにグレーのベストを合わせることでより華やかな印象にまとめたコーディネートです。
ポケットチーフもブラウンのネクタイに合わせてベージュを選ぶことで、統一感のある印象を与えられます。

王道のブラックスーツに蝶ネクタイを合わせたコーディネートです。
蝶ネクタイは弔事のイメージがないことから、慶事の場で黒色を選んでも問題ありません。
なお、一般的に蝶ネクタイは18時以降の結婚式やパーティーで着用するのがマナーとされています。
夜に開催される結婚式やパーティーに参列する際は、蝶ネクタイを使ったコーディネートに挑戦してみてはいかがでしょうか。
なお、今回紹介したコーデ例に黒色のネクタイを合わせるといった小物の調整で、通夜や葬儀などの弔事にも適したスタイルに対応できます。
6. 冠婚葬祭のスーツに関するQ&A

冠婚葬祭のスーツに関するQ&Aをまとめました。
Q1:スーツ以外に用意しておいたほうがよいアイテムは?

A:冠婚葬祭用にブラックスーツ以外で用意しておいたほうがよいアイテムは、以下の4つです。
・冠婚葬祭で共通して使える白シャツ
・黒シューズ
・慶事向きの白ネクタイ
・弔事向きの黒ネクタイ

◆もう少し詳しく解説
・シャツ…白・無地・レギュラーカラー
・シューズ…黒・レザー・ストレートチップ
Q2:ブラックスーツはビジネススーツで代用できる?

A:冠婚葬祭用に準備が間に合わない場合は、ビジネススーツで代用できる場合もあります。お手持ちのビジネススーツから選ぶ際は、黒無地のシンプルなデザインのものを選びましょう。
◆もう少し詳しく解説
ビジネススーツを代用する場合は、以下のようにできるだけブラックスーツに近いデザインを選びましょう。
- 黒(なるべく色が濃いグレーや紺)
- 無地(なるべく柄が目立たない織柄)
また、ブラックスーツ(礼服)が用意できない場合でも、最低限「白シャツ・黒シューズ・黒もしくは白ネクタイ」の周辺アイテムは揃えましょう。
冠婚葬祭といった特別な場面では、ほとんどの方がブラックスーツを着用しています。購入が難しい場合は、ブラックスーツ(礼服)のレンタルサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
Q3:冠婚葬祭にスーツは必要?
A:結婚式や葬儀など、冠婚葬祭の場面ではスーツが必要です。
格式の高いブラックスーツであれば、小物次第で慶事にも弔事にも汎用性高く着用できておすすめです。
Q4:冠婚葬祭のスーツはどこで買える?
A:冠婚葬祭用のものは、スーツ専門店で購入できます。
SUIT SQUAREでは、冠婚葬祭向けに豊富な種類のスーツをご用意しております。気になる方はぜひご覧ください。
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Q5:冠婚葬祭のスーツはレンタルできる?
A:冠婚葬祭用のスーツはレンタルも可能です。
自分の身体に合ったサイズ感のブラックスーツが一着あると安心ではありますが、そのときの状況に合わせてレンタルサービスも有効活用しましょう。
SUIT SQUAREや洋服の青山と同じ会社が運営する「hare:kari(ハレカリ)」なら、すべてクリーニングが完了した清潔なスーツをレンタルできて安心です。
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Q6:結婚式と葬式で同じスーツを着てもよい?
A:結婚式と葬式のどちらでも着用できるブラックスーツであれば、同じものを着用しても問題ありません。
冠婚葬祭用にブラックスーツを1着用意しておくとよいでしょう。
Q7:葬式に就活スーツを着用してもよい?
A:葬式に参列する際は、就活(リクルート)スーツではなくブラックスーツの着用が理想です。冠婚葬祭に適したブラックスーツと就活スーツでは、黒色の濃さや深み、光沢感などが異なるためです。
具体的にはブラックスーツが漆黒のような濃く深い黒色で光沢感がないのに対し、就活スーツはグレーがかった黒色で光沢感があります。
就活スーツが無地のブラックで、光沢感が控えめのものであれば葬式に着用しても問題ありません。しかし、色味や光沢感からブラックスーツとは違うことがわかるため、可能であればブラックスーツ(礼服)で参列しましょう。
7. まとめ

初めて冠婚葬祭用のスーツを購入する場合は、さまざまなシーンで着用できる汎用性の高いブラックスーツがおすすめです。ネクタイやポケットチーフなどの小物を調整するだけで、各シーンに適したスタイルへと印象を変えられます。
冠婚葬祭用のスーツはいつ必要になるのか予測が難しいものです。いざというときに困らないためにも、事前にブラックスーツを1着準備しておくと安心です。

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ぜひ、参考にしてみてください!