ビジネスシーンでもフォーマルな場でも、第一印象を左右するのがワイシャツです。

なかでも袖丈や袖口のデザインは、着こなしの印象を大きく変える重要なポイントとなります。

本記事では、ワイシャツの袖丈の選び方や袖口の種類・特徴を詳しく解説します。

さらに、既製品のワイシャツとオーダーシャツの違いも紹介しますので、ワイシャツの着こなしをアップデートしたい方は、ぜひ参考にしてください。

1. ワイシャツの袖丈はどう選ぶ?ベストな長さと調整方法

ワイシャツの理想的な袖丈の目安と、袖丈が合わない時の調整方法を紹介します。

1-1. スーツスタイルの袖丈は1~1.5cm出る長さがベスト

スーツスタイルの袖丈は、腕を自然に降ろした時にジャケットの袖口からシャツの袖が1~1.5cm出る長さが理想的です。

ワイシャツの袖丈がジャケットのなかに完全に隠れてしまうと、だらしない印象を与える可能性があります。

一方で、シャツの袖丈が長すぎるとバランスが崩れ、違和感のある仕上がりになります。

シャツの袖丈は、手首の骨が隠れる程度の長さを意識すると、スタイリッシュな印象に仕上がるでしょう

1-2. アームバンドや袖まくりで袖丈の長さを調整する

袖丈が長い場合に便利なのが、アームバンドや袖まくりによる調整方法です。

アームバンドは腕に通して二の腕の位置で留めることで、ワイシャツの袖丈を適切な位置に調整できます。

シンプルなデザインからおしゃれなものまで種類が豊富で、さり気ないアクセントとして活用できます。

また、上下2カ所で固定するタイプのシャツガーターは、袖をしっかりホールドできるため、安定感がありズレにくいのが特徴です。

袖まくりをする場合は、ただ無造作に上げるのではなく、まくり方を意識するとスタイリッシュに仕上がります。ベーシックな袖まくりは、カフスの大きさに合わせて2回折り返す方法です。

こなれ感を出したい場合は、カフスを肘まで一気に上げてから、余った部分を重ねて織り込むとラフな印象に仕上がります。

ただし、肘上までまくり過ぎると野暮ったく見える場合があるため、バランスに注意しましょう。

2. ワイシャツの袖口の構造

ワイシャツの袖口は、主に「カフス」と「剣ボロ」と呼ばれるパーツで構成されています。カフスとはシャツの袖口部分を指す言葉で、補強や装飾の役割を持つ重要な部分です。

カフスに適度な硬さの芯地を入れることで、袖口が型崩れしにくく美しい形状に仕上がります。一方「剣ボロ」は、袖口を補強する細長い布を指し、先端が剣の形に似ているため、剣ボロといわれています。

このように、ワイシャツの袖口は機能性とデザイン性を兼ね備えた構造になっており、用途やシーンによってさまざまなタイプを選ぶことが可能です。

3. ワイシャツの袖口の種類と特徴

ワイシャツの代表的な袖口の種類と特徴、どのようなシーンに適しているのかを具体的に解説します。

3-1. シングルカフス

シングルカフスは、多くの既製品シャツに採用されている一般的なデザインです。

袖口に折り返しがなく、一重構造でボタン一つで留めるシンプルな作りが特徴です。

着脱がスムーズにできる構造なので、扱いやすさに優れています。

ビジネスシーンやカジュアルスタイルなど広く活用できるため、初めてワイシャツを選ぶ方や、汎用性を重視したい方におすすめです。

3-2. ダブルカフス

ダブルカフス

ダブルカフスは袖口を折り返して、カフリンクス(飾りボタン)で留めるドレッシーなデザインです。フレンチカフスとも呼ばれ、格式のあるスタイルとして定着しています。

カフス部分が二重構造になっているため、シングルカフスよりもボリュームがあり、エレガントで華やかな印象に仕上がるのが特徴です。

カフリンクスで個性やセンスを表現できるので、結婚式やパーティなどのフォーマルシーンにぴったりです。

3-3. ラウンドカフス

ラウンドカフス

ラウンドカフスは折り返しのないシングルカフスの一種で、袖口の角を丸くカットしたデザインが特徴です。

丸みの大きさによって名称が異なり、丸みが大きいものを「大丸」、小さなものを「小丸」と呼びます。

角が丸いデザインは袖口が引っ掛かりにくいため、服を傷めにくいのも嬉しいポイントです。

特に丸みが大きい「大丸」はエレガントな印象を与えるため、お祝いの席に適したデザインです。

3-4. スクエアカフス

スクエアカフスは角がカットされていないカフスで「角」とも呼ばれます。端正な形状から、どんなシーンでも着用しやすく、幅広いスタイルにマッチしやすいのが特徴です。

すっきりとしたデザインなので色柄シャツとも相性が良く、全体のバランスを崩さずにスタイリッシュに決まるのが魅力です。

3-5. カッタウェイカフス

カッタウェイカフス

カッタウェイカフスは袖口の角を斜めにカットしたデザインで「カットオフカフス」や「角落型」とも呼ばれています。

カットされた形状がシャープで堅実な印象を与えるため、ビジネスシーンでの着用にもふさわしい、実用的なデザインです。

シンプルながらも洗練されたデザインは、オンオフ問わず幅広いシーンで活躍します。

3-6. ツーボタンカフス

ツーボタンカフス

ツーボタンカフスはボタンが縦に2つ並んだデザインで、手首にフィットしやすいのが特徴です。袖口をしっかり留められるため、快適な着用感が得られます。

特にイタリアメイドのシャツに多く採用されており、エレガントで洗練された印象を与えます。

丸みがあり控えめな形状なので、フォーマルなシーンから日常使いまで使いやすいデザインです。

3-7. ターンナップカフス

ターンナップカフス

ターンナップとは「折り返す」という意味で、肘の方向へ折り返したカフスを指します。外側のカフスにはボタンが付いていないのが特徴です。

別名「ミラノカフス」「ターンバックカフス」と呼ばれることがあります。主にドレッシーなシャツに多く用いられるため、華やかさや個性を演出したい方におすすめです。

3-8. アジャスタブルカフス

アジャスタブルカフス

アジャスタブルカフスは袖口にボタンが2つ並んでいるのが特徴で、袖口のサイズを調整できるデザインです。腕の太さに合わせてフィット感を調整できるため、既製のワイシャツにも広く採用されています。

さまざまな体型やスタイルに合わせやすく、実用性と見た目のバランスを両立できるのが魅力です。

3-9. コンバーチブルカフス

コンバーチブルカフス

コンバーチブルカフスは、カフスの両側にボタンホールが取り付けられたデザインです。通常のボタンで留めるシングルカフスだけでなく、カフリンクスでも楽しめる両用タイプです。

折り返しのないすっきりとした見た目で、ビジネスシーンからカジュアルな着こなしまで、スタイルを選ばずに着用できます。

3-10. 円錐カフス

円錐カフスは、袖口の先に向かって細くなる円錐状のデザインが特徴です。手首にフィットしやすい形状で上品な雰囲気を演出するため、きちんとした装いにおすすめです。

手首の太さや腕時計のサイズによっては窮屈に感じる場合もあり、着用時のフィット感には注意が必要です。

4. 既製品のワイシャツとオーダーシャツの違い

カフスの形やフィット感にこだわるなら、既製品のワイシャツとオーダーシャツの違いを知っておくと選びやすくなります。オーダーシャツのメリットとともに両者の違いを解説します。

4-1. 自分の体型に合ったサイズで作れる

サイズの合わせやすさは、既製品とオーダーシャツの大きな違いのひとつです。

既製品のワイシャツは、標準体型を基準に作られているため、体型によってはフィット感に違和感が出ることがあります

例えば、首が細く腕が長い方は、袖の長さに合わせて選ぶと首回りがゆるくなり、バランスの悪い仕上がりになります。

一方、オーダーシャツは、自分の体型に合ったサイズで作れる点が魅力です。首回りや肩幅・袖丈・胸囲・胴囲など細かく採寸するため、自分の体型にフィットした一着が作れます。

4-2. 好みの生地・色柄・襟型・袖口を選べる

自分好みに合わせて細部までカスタマイズできるのが、オーダーシャツならではの魅力です。

既製品のワイシャツは定番のデザインが多く、どうしても無難な印象になりがちです。

オーダーシャツなら、袖口の形や襟型、生地の素材、色柄など自分の好みに合わせて選べるため、他にはない一着を仕立てることが可能です。

また、季節や着用シーンに合わせてデザインを調整できるので、成人式や結婚式など特別なシーンに合わせた装いを演出できます。

4-3. 着心地が良く長持ちする

オーダーシャツは既製品に比べて着心地が良く、長持ちしやすい点がメリットです。体型に合わせて仕立てられたオーダーシャツは、快適な着心地を実現します。

また、適正サイズのワイシャツは、生地や縫い目にかかる負担が少なく摩耗や劣化を防ぐため、長く愛用できるのも特徴です。

メーカーによっては襟や袖など汚れやすい部分の交換に対応しており、メンテナンス面でも安心です。

5. オーダーシャツを格上げする袖口の選び方

オーダーシャツを格上げするためには、袖口の選び方が重要です。選び方のポイントを見ていきましょう。

5-1. ジャケットとスーツのバランスを考慮する

袖口のデザインやサイズは全体のシルエットに大きく影響するため、ジャケットやスーツとのバランスを考慮するのがポイントです。

大きすぎる袖口はだぼついたシルエットになり、全体の清潔感が損なわれる可能性があります。

一方、袖口が狭すぎると、腕時計がシャツの袖口に引っかかり、ジャケットを着た時に全体のバランスが崩れやすくなります。

そのため、ワイシャツ単体のデザインだけではなく、ジャケットを羽織った際の見え方を意識して、袖口の種類を決めましょう。

5-2. 着用シーンに合わせて選ぶ

ワイシャツの袖口には多くの種類があり、それぞれの印象が異なるため、着用シーンに合わせて選びましょう。ビジネスやプライベートで幅広く使えるタイプは、シンプルで扱いやすい「ラウンドカフス」や「スクエアカフス」です。

柔らかい雰囲気を演出したい場合は「大丸」タイプがおすすめです。結婚式などのフォーマルな装いでは、カフスボタンと組み合わせて使う「ダブルカフス」を選ぶと、エレガントで華やかなシーンにふさわしい印象を演出できます。

5-3. シンプルなシャツはカフスリンクスで差をつける

シンプルなシャツには、カフリンクスを取り入れることで、さりげないアクセントが加わります。ジャケットの袖口からのぞくカフスボタンが、上品で洗練された印象を演出し、装いをワンランク格上げしてくれます。

カフスボタンは「ダブルカフス」や「コンバーチブルカフス」に取り付け可能です。ビジネスシーンではシルバー系のカフスボタンを選ぶと、スーツやシャツのカラーと馴染みやすく、控えめながら上品な着こなしが楽しめます。

結婚式では、ゴールドや真珠などの素材を選ぶと華やかさが加わり、特別な場にふさわしい印象を与えられます。

6. オーダーシャツの種類・相場

オーダーシャツの種類や相場を確認しておきましょう。

6-1. オーダーシャツの種類

オーダーシャツを作る方法には、以下の3つがあります。

オーダー方法 特徴
パターンオーダー 用意された既製服を試着し、細かい部分を調整しながら仕立てる方法
イージーオーダー 数種類の型紙の中から自分の体型に合ったものを選び、型紙をベースに微調整を加えて仕立てる方法
フルオーダー 採寸から型紙作成まで完全オリジナルで行い、生地やデザインを自由に選べる方法

初めてオーダーシャツを作る方は、既製服をベースに気になる部分を調整できるパターンオーダーがおすすめです。既製品ではサイズがしっくりこない方は、イージーオーダーで体型に合わせた微調整が可能です。

素材や柄など細部までこだわりたい方は、フルオーダーを選ぶと理想的な一着が仕立てられます。

6-2. オーダーシャツの相場

オーダーシャツの価格相場は、5,000円~8,000円程度です。ただし、選ぶ生地の質やボタンの種類、オプションなどによって価格が変動します。

特に、高品質な素材やこだわりのディティールを取り入れる場合は、1万円を超えることもあります。そのため、用途やニーズに合った価格を見極めることが大切です。

普段使いにはコストパフォーマンスのよいタイプを、特別な一着には少し贅沢な一着を選ぶとよいでしょう。

7. はじめてでも安心!オーダーシャツの基本ステップ

初めての方でも安心してオーダーシャツを作れるように、基本的なステップを紹介します。以下の流れで注文しましょう。

1. 実店舗に行く

2. 既製品や型紙を着用し、体型に合わせて微調整する

3. 好みの生地を選ぶ

4. 襟型・袖口の種類・胸ポケットの有無・ボタンの色などを決める

5. 完成

フルオーダーの場合は、首回りや袖丈、肩幅などを細かく採寸します。注文後およそ2~4週間で完成します。

8. ワイシャツ・ドレスシャツに関する関連記事を紹介

オーダーシャツを検討する際は、シャツに関する基本知識や選び方も押さえておきたいポイントです。ここでは、ワイシャツやドレスシャツに関する役立つ記事をまとめています。

ドレスシャツのパーツの名称や役割は、以下の記事で詳しく解説しています。
【ドレスシャツの疑問】この部分なんて呼べばよい?各部位の名称について

以下の記事では、ドレスシャツの襟型の違いによって印象がどう変わるのか、代表的な襟型の種類や特徴を解説しています。
【ドレスシャツの疑問】襟型の種類やデザイン特徴について知りたい!

ドレスシャツに使われる生地の種類や色柄のバリエーションを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【ドレスシャツの疑問】どんな素材・生地・色・柄があるの?

9. まとめ

ワイシャツの袖丈は、ジャケットの袖口から1~1.5cm出す長さがベストです。袖口のデザインもシンプルなものから個性を演出できるタイプまで幅広く、シーンに応じて選べます。

既製品では理想のサイズやデザインが見つからない方は、オーダーシャツを検討するのもおすすめです。オーダーシャツなら自分の体型にぴったり合った一着が仕立てられ、細部にまでこだわったシャツスタイルが実現できます。

この記事を参考に、理想のワイシャツを手に入れましょう!

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