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| スーツ工房の製造ライン |
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マシンメイドのスーツ工場を見学した翌日、私たちはまたしても上海の空港にいた。「“生地づくり”も“仕立て”も見学したのに、いったい次はどこへ?上海の街をもっと見学したかったのに……」と、『Begin』編集部のKさんは少々残念そう。そんな彼を引っ張って、私たちを乗せた飛行機は再び中国の空へ。この旅の最終目的地、それは中国北東部最大の都市・大連だ。
「えっ、なんでまたスーツ工場に!?」。目的地に到着した途端、Kさんが不思議そうな顔で私に聞いてくる。ところが敷地内に足を踏み入れた途端、その表情が一変。「ミシンの音が全然聞こえないんですけど……」と興味深そうに疑問を投げかけてきた。「だってここは、ハンドメイドのスーツ工房ですから」と、いじわる顔で答える私(笑)。
この工房では、裏地の縫い付けや袖付けはもちろん、ブランドタグやボタンの取り付けまでを手作業で行っている。「これだけ技術が発達した時代に、なぜハンドメイドにこだわるんですか?」。予想どおりにKさんが食いついてきた。「“極上”を突き詰めると、マシンメイドではどうしても限界があるんですよ」と答える私は、余裕の表情。 |
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| 一般にスーツの善し悪しは、平面の布でどれだけ身体に即した曲線をつくりだせるかで決まる、といわれている。その絶妙な曲線をつくり出す秘訣は、職人の手によるアイロンワークにあった。いいスーツの特徴のひとつである“袖の前振り”は、何度もアイロンをあてながら生地を少しずつ折り曲げていくことで完成。また最も難しい工程で、マシンメイドとの差が明らかに出るといわれる“袖付け”では、手で馴染ませたり水分を加えたりしながら見事な曲線を実現していた。職人たちの巧みなアイロンテクニックに、Kさんはただただ驚くばかり。 |
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| 生地の裁断 |
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| 出荷を待つハンドメイドのスーツたち |
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スーツが完成してからも、アイロンワークの手は休められることがない。ハンガーに吊されたジャケットやパンツに、幾度となくアイロンを施す職人たち。極上の着心地を実現するために、時間が許す限り、生地に残った微妙なシワやクセを入念にとっているのだ。
この工房で一日につくられるスーツは、ほんの4 - 5着。マシンメイドとくらべハンドメイドのスーツづくりは、ものすごく手間暇がかかる。それはこの後に視察した、ハンドメイドのシャツづくりも同様。身頃と袖を別々に縫い、そののちひとつにあわせる“セットインスリーブ”といった製法をはじめ、『THE SUIT COMPANY』のシャツには、難しい縫製が駆使されているのだ。「ハンドメイドアイテムをつくる匠ってスゴイ! ここまでくると、もう芸術作品ですね」と帰りのクルマでもKさんは、感動冷めやらぬ様子だった。
ミラノから大連までの10日間の旅が、まもなく終わろうとしている。「これほどまでこだわってるのに、『THE SUIT COMPANY』のアイテムはリーズナブルな価格設定ですよね。ズバリ、それはなぜですか?」。成田へ向かう飛行機のなかで、Kさんが聞いてきた。「着心地の良いスーツを、たくさんの人に試してもらいたいだけですよ」。珍しく真剣な顔で、私はそう答えた。
(おわり)
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| ブランドタグももちろん手縫い |
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| 何度も繰り返されるアイロンワーク |
シャツ工房の職人たち |
慣れた手つきでボタン付けを行う |
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