『THE SUIT COMPANY』とゆかりの深い、イタリアのメーカー視察を終えた私たちは、恒例のリサーチへと繰り出すことになった。「リサーチって、何をするんですか?」と疑問を投げかけてきたのは、今回の旅に同行している『Begin』編集部のKさん。「簡単にいえばショップをまわり、ミラノのトレンドをチェックするんです。
今後の世界のトレンドがわかりますからね。リサーチも大切な仕事のひとつなんですよ」と少々得意気な私。

ミラノのシンボル・ドゥオモ

    まず向かったのは、ミラノのシンボル・ドゥオモから少し歩いたところにあるサンバビラだ。ここは老若男女問わず、ハイセンスなイタリア人が集うミラノのメインエリア。と、街行くセレブたちに目を奪われていたKさんが、意外そうな顔でポツリ。「皆、同じカッコなんですね」。実はイタリア人は、日本人以上に流行に敏感。私たちが訪れた頃は、ほとんどの女性がカシミアのコートに、デニムのブーツインスタイルだった。とはいえ、サイズや丈を工夫してそれぞれが上手に着こなしているところは、さすがイタリア人。皆と同じアイテムを身にまとうだけで安心する、私のような日本人とは大違いだ(笑)。
 最初に訪れたのは『THE SUIT COMPANY』が定点観測している、クラシック系セレクトショップ「ブライアン&バリー」。店内にはスーツやシャツ、ダウンコートなどのクラシコアイテムがズラリと並ぶ。オシャレなスーツを完璧に着こなした店員さんの出で立ちは、編集者のKさんを唸らせるほどだ。お次は、隣に位置する「クラン」へ。こちらはデニムやレザーを中心に、カジュアル系アイテムを数多く取り揃えたセレクトショップ。次を急ぐ私たちは、物珍しそうに店内を物色しているKさんを無理矢理引っ張り、店を後にした。   
ミラノ市街の様子

歴史をかんじさせる古都の町並み

街で見かけたミラノの女性たち

    通りを歩き始めたところで、Kさんがまた何かに気づいたようだ。「開いていない店が多すぎやしませんか?」。「ミラノのショップは、商売っ気がないんですよ。昼でもまだ開いてなかったり、日曜が休みだったりなんてざらですから」としたり顔の私。昨日先輩から仕入れた知識が、こんなところで役に立つとは!

 閉店中のショップも多かったとはいえ、足を踏み入れたお店はゆうに50軒。高級ブランド通りを擁するモンテナポレオーネ通りから、人気セレクトショップ「コルソコモ」の周辺エリアまで、気づけば一日じゅう歩きっぱなしだった。最初は元気だったKさんも、日が暮れる頃にはさすがにお疲れモードに。スニーカーを履いていても、硬い石畳に覆われたミラノの街を歩き続けるのは、かなりしんどいのだ。

 リサーチを終えた私たちを待っていたのは、イタリアンのフルコース。本場の味を堪能し尽くすうちに、皆の顔にも精気が蘇ってきた。「オシャレに敏感なイタリア人は、夜でもウィンドウショッピングを楽しむんですよ。陳列から照明まで、各ショップもディスプレイにすごくこだわってて」とKさんに話題を振ると、「行きたい!行きたい!」と大はしゃぎ。「じゃあ、行きますか」と席を立った瞬間、私の視界がグラッと歪む。どうやら飲み過ぎてしまったようだ(苦笑)。店を出た後、残念がるKさんをタクシーに引きずり込み、ホテルへ直行したのは言うまでもない。

つづく
本場・ミラノのクラシコアイテム ならではのこだわりディスプレイ ネクタイのディスプレイも個性的